最近、あるWEBサイトの修正をしながら、ずっと考えていたことがあります。
サービスの説明は書いてある。
料金も書いてある。
申込みボタンもある。
けれど、ページを見ても「ここにお願いしてみよう」と思える材料がほとんどない。
実績が見えない。
どんな人が対応してくれるのか分からない。
実際に利用した人がどうなったのかも分からない。
その代わりに、
「全国対応しています」
「料金が安いです」
「オンラインで利用できます」
という説明が並んでいる。
もちろん、これらも必要な情報です。
でも、それだけで人は動くのでしょうか?
WEB制作をしていると、情報としては間違っていないのに、なぜか人が動く姿が想像できないページに出会うことがあります。
そこで改めて考えたのが、行動経済学でした。
人は、すべてを合理的に比較して決めているわけではない
私たちは商品やサービスを選ぶとき、
「料金はいくらか」
「機能はいくつあるか」
「どこまで対応しているか」
と条件を比較しているように見えます。
けれど実際の判断は、それほど合理的ではありません。
(人が必ずしも合理的には判断せず、感情や思い込みなどに影響されて行動することを研究するのが行動経済学です)
「なんとなく安心できそう」
「この人なら分かってくれそう」
「自分と同じような人も利用している」
「ここなら失敗しなさそう」
こうした直感的な判断が、その前にあります。
行動経済学では、人間はいつも冷静に損得を計算して行動しているわけではなく、経験や感情、周囲の情報、見せ方などに影響されながら判断すると考えます。
WEBも同じです。
情報をたくさん載せれば、人が動くわけではありません。
むしろ大切なのは、
「私はここに相談しても大丈夫そうだ」
と思える材料があることです。
安いだけでは、人は動かない

と価格を安くすれば、申込みやすくなる。
一見すると、そう思えます。
ところが、サービスの場合は少し違います。
たとえば、
「通常10万円のサービスが3万円です」
と書いてあっても、
誰が対応するのか分からない。
実績が見えない。
利用した人の声もない。
そんな状態では、
「安いからお願いしよう」
ではなく、
「どうしてこんなに安いんだろう?」
と感じる人もいます。
安さは魅力になりますが、信頼できる材料が少ないと、かえって不安につながることもあります。
つまり、単純に「安ければ売れる」という話ではありません。
人は「得をしたい」気持ち以上に、「失敗したくない」という気持ちに動かされることがあります。
だからWEBでは、
安さを伝える前に、「ここなら大丈夫そう」と思える理由を見せることが大切です。
人は「自分のことだ」と思ったときに読む

もう一つ、とても大きいのが「自分ごと」です。
たとえば、
「全国のお客様に対応します」
という言葉があります。
間口は広くなります。
でも、読む人からすると、自分のためのサービスなのかどうかが分かりません。
一方、
「福山市で小さなお店を経営していて、ホームページから問い合わせが来ない方へ」
と書いてあったらどうでしょう。
対象になる人は減ります。
でも、福山市で小さなお店を経営していて、ホームページから問い合わせが来ない方には急に自分の話になります。
これはWEBではかなり大切だと思っています。
「誰でも利用できます」
という言葉は、一見親切です。
ところが、人は
「誰でも」より「あなたへ」と言われた方が、自分との関係を感じやすい。
地域を絞ったり、対象となる人を具体的にしたりするのも、そのためです。
広げれば広げるほど売れるとは限りません。
むしろ少し狭くした方が、選ばれる理由が見えてくることがあります。
人が動くWEBを考えるということ

人は料金やサービス内容だけを見て決めているわけではありません。
その人の実績を見る。
人物を見る。
失敗しなさそうか考える。
利用した後の自分を想像する。
レビューやSNSも探してみる。
そうした判断が積み重なって、ようやく行動につながります。
だからWEBを作るときは、
「何を載せるか」だけではなく、
「この人は、何が分かれば安心して行動してくれるのか」
まで考える必要があります。
私たちも、こうした人の行動を考えながらWEBの課題を見ています。
たとえば、お客様から
「お問い合わせを増やしたい」
と相談されたとします。
広告会社なら「広告を出しましょう」、ホームページ制作会社なら「LPを作りましょう」という提案になることもあります。
もちろん、それが必要な場合もあります。
でも、実際に見てみると、問題はそこではないこともあります。
アクセスはすでにあるのに、ページの途中で離脱している。
商品は見られているのに、購入まで進んでいない。
問い合わせページまで来ているのに、そこで止まっている。
こうなると、新しく何かを作る前に「なぜここで止まっているのか」を考えたほうが良いですよね?
先日も、購入につながりにくい原因を調べていくと、大きな問題ではなく、商品写真の見せ方や注文ボタンの位置が影響していました。
そこを少し直しただけで購入率が上がり、お客様にも喜んでいただけました。
WEBは、一度作って終わりではありません。
人がどこを見て、どこで迷い、なぜ動かなかったのか。
そこを見ながら少しずつ直していくことで、結果が変わることがあります。
何かを新しく作ることより、今あるWEBの中で人が止まっている場所を見つける。それを一緒に考えていくことも、私たちの仕事だと思っています。



